ACオデッセイの登場人物解説1~数学者Pと哲学神E~
「アサシンクリード オデッセイ」とは、紀元前430年のギリシアを舞台としたRPG。買ってプレイすること一週間。多分、現状で一番当時の世界観や地理を繁栄したゲームだと思う。もちろん、ゲームの都合上の変更や、そもそも暗殺ゲームなので敵味方問わずドンドン殺されるあたりは仕方ないけれど。
そして今回紹介するポイントは、ゲームに登場する史実の人物たち。
その中でも特に、ヘロドトスやレオニダスほど知られてないかもしれないが、有名な人物に焦点を当てたい。ゲームだけみると誤解したり、よく分からないまま退場する人も居るけど、それを見ていた自分は結構ツッコミや解説を入れたかったんで、紹介しようと思う。とは言っても、全部は難しいので今日は二人。
(一応、ネタバレ注意)
神秘主義の哲学者。
そこそこ重要な場面で登場するが、知識がないと「三平方!! 三平方の人が何で!?」と叫ばれるだろう数学者。一般教養では中学で「三平方の定理の発案者」の一行くらいしか乗ってないと思われる。しかしその生涯は謎に包まれている。
ピタゴラスは紀元前580年(ゲームの年から130年前)に生まれたとされる。
当時の世界に存在した数学の知識をかき集めるべく、古代オリエントを旅したとか。やがて「数」を万物に結びつけ、全宇宙の法則は数で表せるという「万物は数である」理論を主張するように。
やがて彼は40歳頃、数学を崇拝する秘密組織「ピタゴラス教団」を創立。
生活から教育に関するまでの細かなルールを作り、外部に情報を漏らせば死刑という厳しい掟の中で、メンバーは天文学、数学、音楽(音程や調律を数学に絡めて)を研究した。地球は球で動いているとか、衛星の円運動に気付くといった科学的な面もあれば、10という数を崇拝したり、数字に哲学的な意味を持たせるといった宗教的な面もあった。
ピタゴラス教団はかなり大規模な集団だったそうで、政治的な権威も持ち、それが原因で対立派閥に襲撃され、ピタゴラス自身も殺害されたという。
秘密教団ということで、今なおその全貌は分からないが、弟子とかが漏らした情報が後世に伝わっている。
「アサシンクリード」シリーズとしては、謎の知識人という立場が登場させやすかったのだろう。ちなみに、「哲学者」という言葉は彼が考案したとされる。
・エンペドクレス
自然哲学者。
ゲームだと「私は神だ」と言いながら走り回り、怪物に叩き潰された変人。
史実では豊富な知識と高度な頭脳を持って行ったとされ、不正な政治家を裁判で有罪にしたり、疫病から街を救ったという逸話が残る。オリンピアの競馬で優勝したとも言われている。
哲学者としては、元素説(物質には変化することのない最小単位がある)や引力を唱えたり、「耳の奥の骨が空気の振動で打たれるから、音が聞こえる」といった感覚の考察をした。ピタゴラス学派に所属したとされ、後世のアリストテレスといった哲学者にも影響を与えた。
なんか一見普通の哲学者っぽく思えるが、彼は途中から「私は神だ」と主張し始めたらしい(細かい理屈は知らないが)。そして自身が神であることの証明に、エトナ火山の火口にサンダルを脱いで揃えると、ダイビング自殺をしたそうな。
この伝説のインパクトが強すぎるせいか、今作では随分とやばい人に変化してしまったが、史実では当時の天才の一人だった。
因みに、彼の死んだ場所はエトナ火山とされるが、ゲーム上ではエトナ火山というフィールドは存在しない。代わりにティスヴィ島という名前の場所で彼はキュクロープスに襲われる。その巨人プロンテス(=雷鳴、の意味)は三兄弟の一人。強大共に鍛冶の神ヘパイストスに仕え、ゼウスの雷霆やポセイドンの三叉を作ったとされる。そんな彼等の作業場こそ、エトナ火山なのである(火山の煙は彼が仕事をしているため)。
分かる人には分かる組み合わせだが、流石にエンペドクレスがここまでアッサリ死ぬのは悲しかった。
とまあ、今回はこの辺で。
自分の知識整理もあるので、連載は続くと思う。多分。