今日から繋げる古代風景

日々の出来事を無理やり歴史に紐付ける人

ポケモンから見る平成電気の歴史①~電気予報の予報するもの~

 

 

 

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 電気予報、良い曲ですね。

 あの頃の冒険の好奇心を掻き立てるAメロから、「あああああ」という名前ネタを挟んだ奇抜さで斬新さを思い出させてからの、ボカロならではの「はしるるるr」となりながら電子音ロックなサビ。

歌詞をみると、あえてひらがなだったり、図鑑やボックスの電子音、トキワのもりのアレンジに至るまで、ポケモンとミクと稲葉曇さんの三位一体がすごいわけで…

 

 

(前置き)ネットとポケモン

 ———と、こう語れるのは、私がドット絵世代のポケモンを知り、00年代から現代までのボカロを知り、稲葉曇というPの曲を知っているからだ。

 電子音やトキワの森BGMを聞いて懐かしむ世代は、ポケットモンスター赤・緑(1996年、平成8年)に発売した初代をプレイしたか、リメイクのファイアレッドリーフグリーン2004年)を知っているか、あるいは懐かしいBGMメドレーを聞いて懐かしめるような、つまるところ20~30代が対象である。

 初音ミクがネットで一躍有名となった時代もそれと被るから、この曲のメイン層はそこらへんじゃないかと思う。

 

 ポケモン大会やポケカが今より身近な頃、一方でこの時代のネットというと、ポケハック、いわゆるファイアレッドを改造した同人作品が流行し、ポケットモンスターアルタイル・ベガなどの動画が上がったほか、怖い都市伝説、擬人化なども流行った。我々にとって、「でんげきが はしる!」

「しょうげきを くらう!」で連想するのは、2008年のコイルショックにほかならない。

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 公式からの供給が今よりも薄く、ジムリーダーがゲームの一瞬、アニメの数話しか登場しないことで、今以上に自由な設定の二次創作が投稿されていた記憶もある。番外だとポケスぺのSSとかも含まれる。

 

 同時に、でんきタイプに焦点を当ててみると、時代ごとの特色が覗けるじゃないだろうか。と思い付きで書いてみる。そのとっつきとして、でんきタイプのジムを順に追っていこう。

 

 

カント―:

クチバシティ(1996)

https://game-e.com/pokemon-pika-vee/map-city/kuchiba-city.gif

(良い画像がなかったので、ピカブイの攻略サイト画像より)

ポケモン クチバシティ - Bing video

 

 でんきねずみのピカチュウというマスコットキャラを生み出した今作では、国際線の行き交う港町がでんきタイプのジムに選ばれた。

 ジムリーダーのマチスは米軍人のようないで立ちで、横須賀がモデルなどと言われている。が、街を歩くとビルなどもなく、家より船が多いなど少し寂しい。

 

 電気と港町を結びつける要因の一つは、まず石油だろう。この1990年代は、石油需要の高まりと共に世界的な規制改革が行われた。日本でも規制緩和および平成7年に電気業法が改正されるなど、変化が訪れる。

電力自由化の経緯 - 電力システム改革 | 電気事業連合会 (fepc.or.jp)

 

 人々の使う電気は、家電に娯楽、そしてポケモン自体であるゲームや玩具などにより増大していく。電子やネットも発達することで、かがくのちからってすげー!という感想や、ポケモンをPC上で電子データとして送受信するポケモン預かりシステムが生まれる背景でもある。

 

 同時に、この時代はバブル崩壊の時期でもある。日本の家電メーカーが不況となる時代でもあり、またこれより後に電気は無尽蔵でなくコストも膨らむことから、省電力という発想が普及し始める。

 

 10ばんどうろに登場するさびれたはつでんしょも、このバブル崩壊の影響を受けたものかもしれない。

ポケモン

 151匹のうち、でんきタイプは9種類。

 カント―地方のでんきタイプは、ピカチュウ、エレブー、サンダー、サンダースと殆どが生物タイプであり、でんき=黄色のイメージがなされている。また身体の一部にとげとげやイナヅママークがあることから、一目ででんきタイプと見抜きやすい。名前も「ピカ」「サンダー」「エレ(キ)」と連想する。

 

 一方無機物で目立つのは、コイル、レアコイルである。

 無機物的な存在、黄色でなく金属色という存在で、両手が磁石である。名前のコイルとは金属に導線をグルグル巻いたもので、これに電流を流すと磁力線を生み出す。そしてコイルを2つ巻いて電流を流すと、相互誘導という電磁誘導が起こる。なので見た目とはそんなに関係ない。

 一つ目で浮いてる存在なので、でんき版ズバットのようなポケモンとして考案されたのかもしれない。

 

 他にギミックモンスターとして、ドラクエミミックと似た扱いの、ビリリダママルマインもいる。ビリリとする玉、丸いマイン(地雷)と分かりやすいネーミング。

 

ジョウト(1999)

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 ジョウト地方にはでんきタイプのジムがない。

 ただしポケギアといった電子ツール、そして田舎町や古都のイメージの多い街に対して、コガネシティという大都市とラジオ塔が存在する。

 街のシンボルにタワーを建てること事自体は現実でも東京タワー(1958)や通天閣(1956年、ラジオ塔ではなく展望台)、さっぽろテレビ塔(1956)など1950年代後半に多い。

 

 それにテレビ全盛期の時代にあえて「ラジオ塔」としているあたり、目新しさは薄れたが街のシンボルとして定着した塔となっている。既にマップ内の家々もテレビが普及しているから、ラジオを聴く機会は減っているはずだから、途中でロケット団が乗っ取り放送をジャックするも、一時代遅い印象がある。

 

 だが、ポケギアという多機能電話ツール、つまり携帯電話が登場した。現実でも1999年ごろにガラケーが発売されている。1995年にPHSという通信手段とが開始され、またSMS(ショートメールサービス)や着メロといったサービスが生まれる。そして1999年にはドコモのiモードによりインターネットが利用可能となっていた。

 また、これによりラジオのインターネット配信も始まろうとしてる。競馬放送のラジオNIKKEIインターネットでの音楽配信時の著作権を、サンフランシスコで洋楽を流すことで解決したJ-WAVE配信された時期でもある。

 

参考:インターネット配信時代のラジオ~その歴史と広域化の流れ~20131105.pdf (nhk.or.jp)

 

ポケモン

 世紀末に発売された今作で、でんきタイプは、メリープ系列、初代のたまごポケモンピチューエレキッド、伝説でライコウが登場する。

 メリープは電気羊、羊の毛は静電気がでそうなイメージは元々あるけど、間違いなくブレードランナー(1982)の原作である「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」のイメージからだろう。体力は青からモココでピンク、最終的にはでんきのテンプレな黄色、デンリュウとなる。

 

 一方で初の「でんき」「みず」とでんき以外のタイプを持つ、チョンチーランターンというチョウチンアンコウっぽいポケモンが登場する。これによりバトル戦略が増えると同時に、モココを含め電球を身体に埋め込んだポケモンの登場で、でんき=光のイメージも追加された。同時にコイルもはがねタイプが追加。でんきタイプのみではあっらわせない無機物タイプも登場してくる。

 

ホウエン(2002)

キンセツシティ

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 ゲームセンターの存在する、キンセツシティが登場。同時に人の発展の負の側面ともいうべき、新都市計画の失敗地ニューキンセツも登場する。

 

 現実ではガラケーに様々なアプリが登場2002年にカメラ付き携帯も登場し、折り畳み型やスライド型などデバイスが多様化する。

 

 現実での1999年、ゲームセンターは、アーケードゲームの流行が衰退、今作のゲーセンに登場するスロットゲームも射幸心が高すぎると公安委員会や自主規制により仕組みを大幅に変えた結果、あまり受け入れられなかった。また、ポケモンと言った家庭用ゲームなどにより人気が衰退したとも言われている。任天堂はどんな気持ちでゲーセンを作ったのだろうか。

 この後、2003年に北斗の拳、吉宗といった台も増える。00年代ではコンピューターグラフィックも良くなったため、表現で人々を惹きつけることも多くなった。

 

 ポケモンの対抗ゲームを見ると、1999年に発売、アニメ化を果たしてヒットした「デジタルモンスター」が登場する。近未来要素を詰め込んだロックマンエグゼ(2001)が登場。2ちゃんねるも発達するなど、ネットへのイメージが膨らむ時代である。

 

 そこで差別化をはかるため、あえてでんきタイプのジムがありながらでんき=ネット、発展の象徴と絡めず、むしろ発電機の暴走などのイベントを取り込んだ衰退的な社会問題のほうへ目を向けたのかもしれない。

 だが同時に、2004年に発売するニンテンドーDSの開発が少しずつ始まった時期だったともいえる。

 

ポケモン

ラクライライボルト

プラスルマイナン

 が追加された。どちらも生物系のでんきタイプのみで、名前だけででんきタイプと分かる。プラスルマイナンは、ダブルバトル(フィールドで同時に2体だし、2vs2で戦うバトル)の導入で、ギミックを楽しむべく、互いがいると能力のあがる「プラス」「マイナス」という特性を持っていた。

 

 そういえば映画「裂空の訪問者 デオキシス」(2004)が公開され、最先端の科学都市ラルースシティが登場するのもこの時期だった。

 

https://th.bing.com/th/id/R.486805dce6ffd0ddbcdae685b2e431a5?rik=3i9Yvv%2fK1vaHEg&riu=http%3a%2f%2fwww.pokepedia.fr%2fimages%2fthumb%2f0%2f01%2fLarousse_City.png%2f384px-Larousse_City.png&ehk=JsEI3KpuMi5VlWPlYXxVYAobvqmBvbrCrvRTjJ4txcE%3d&risl=&pid=ImgRaw&r=0

 バンクーバーがモデルのこの街では、ロボットや今でいう小型ドローンが登場するこの映画は、風力エネルギーから成り立っていたが、街のシステムが暴走する出来事が起こる。テーマの一つに宇宙と隕石も含まれておりかなり未来的なSF作品ともいえる。前年度の「七夜の願い星 ジラーチ」や次作「波動の勇者 ルカリオ」がファンタジー寄りであるのと比べても分かりやすい。

 

まとめ

 ここまでで、ポケモンでんきタイプに対して、分かりやすい雷のイメージをシンプルに入れつつ、必要以上に多く複雑に与えなかった。登場するポケモンも近未来感や無機物的なイメージよりは、むしろ自然の雷や生物的なイメージを持たせている。

 また電気に関する街のイメージも最先端ではなく、一つ距離を置いた視点でとらえているように思う。

 一方で冒険をより効率的かつ楽しんで行えるツールとしてポケギアを採用している。またゲーム外ではポケモン交換や対戦のツールであるコードをワイヤレスアダプタにするなど、新技術を柔軟に取り入れている。

 

ポケモン内ででんきタイプが大きくゲーム世界に関わるのは、ロトムを始めとする第4世代からとなる…

 

のでひとまずここで一区切り。